「緑茶の茶葉」の味の構造と、廻し注ぎのメリット・デメリット
更新日:2022.2.8
狭山茶の通販・オンラインショップを営む新井製茶の新井です。
この記事では「緑茶(煎茶)の茶葉の構造」と「廻し注ぎのメリット・デメリット」について、そして「緑茶(煎茶)の茶葉の味の構造を壊さない淹れ方」について解説します。
「緑茶(煎茶)の茶葉」の味の構造を理解することで、普段のお茶を美味しく淹れるヒントになれば幸いです。
目次
【緑茶の茶葉】の味の構造について
「緑茶(煎茶)の茶葉」の味の構造は茶葉の表面が「旨味・甘味」、茶葉の中心部に近づくにつれて「渋味・苦味」が強くなる構造です。
緑茶(煎茶)の製造方法は蒸した茶葉を熱を加えながら揉んでいます。
この製造方法のため、茶葉に含まれる旨味成分は葉表面に揉み出されると同時に乾燥されます。
揉み出され乾燥された旨味成分は葉表面にとどまり、お茶本来の味である渋味や苦味は消えることなく葉中心部に残ります。
「廻し注ぎ」について
廻し注ぎとは、下記のような淹れ方です。
1⇒2⇒3と注いだら、3⇒2⇒1と戻ります。

廻し注ぎのメリット・デメリット
まず、廻し注ぎのメリット・デメリットについて解説します。
廻し注ぎの3つのメリット
廻し注ぎのメリット1

廻し注ぎの1つ目のメリットはお茶の濃度(色・味)を調整できることです。
廻し注ぎをしないと上記画像のように、淹れたお茶の濃度(色・味)に差が出ます。
最初に淹れたお茶が薄くなり、後に淹れたお茶ほど濃くなります(色だけでなく味もです)。
廻し注ぎのメリット2

廻し注ぎの2つ目のメリットはお茶の量を調整できることです。
廻し注ぎをせずにお茶を淹れると、お茶の量の調整ができず、上記画像のように最後に淹れる湯呑みのお茶の量が多かったり少なかったりしてしまいます。
廻し注ぎのメリット3
廻し注ぎの3つ目のメリットは「緑茶(煎茶)の茶葉」の味の構造が壊れることでコクが出ることです。
このメリットに関しては廻し注ぎのデメリットと被るので、廻し注ぎのデメリットの方で詳しくご説明します。
廻し注ぎのデメリット
廻し注ぎのデメリットは「緑茶(煎茶)の茶葉」の味の構造を壊してしまうことです。
緑茶(煎茶)の茶葉の味の構造は茶葉の表面が「旨味・甘味」、茶葉の中心部に近づくにつれて「渋味・苦味」が強くなる構造です。
廻し注ぎをすることで、茶葉に力が加わり煎茶の茶葉の味の構造が崩れ、1煎目であっても茶葉の内部の「渋味・苦味」が浸出します。
これは蒸し時間の短い浅蒸し煎茶や普通蒸し煎茶のような形のあるお茶で顕著に現れます。
つまり、廻し注ぎが適さないお茶は「浅蒸し煎茶・普通蒸し煎茶」です。
この記事では、普通蒸し煎茶を使って「緑茶(煎茶)の茶葉の味の構造を壊さない淹れ方」をご説明します。
今回淹れる普通蒸し煎茶

使用する茶器

250ccの急須・100ccの湯呑み3客・湯冷まし器・ティースプーンをご用意ください。
(湯冷まし器をお持ちでなければ、400cc程の器をご用意ください)
「緑茶の茶葉」の味の構造を壊さない淹れ方
それでは、普通蒸し煎茶を使って「茶葉の味の構造を壊さない淹れ方」をご説明します。
お茶を美味しく淹れるポイントのお茶の量・お湯の量・お湯の温度・浸出時間(急須でお茶を置いておく時間)にもご注目ください。
3人分の淹れ方でご説明します。
お湯の量

まず、ポットの100℃の熱湯を湯呑み3客の8分目(60cc)まで注ぎます。
お使いの湯呑みの何分目が60ccか、あらかじめ把握しておくと便利です。
お湯の温度

湯呑み全体が温まったら、急須に湯呑みのお湯を移します。
急須全体が温まると、湯温は80℃程です。
煎茶の1煎目の湯温の適温は70℃~80℃です。
今回は80℃を目標湯温にします。
湯温の下げ方は器にお湯を移して、その器全体が温まれば湯温は10℃程下がります。
今回はポットの100℃の熱湯を湯呑みの移して、湯呑み全体が温まれば90℃。
湯呑みのお湯を急須に移して、急須全体が温まれば80℃です。
お茶の量

急須全体が温まったら、湯温は目標の80℃です。
お茶の葉を急須に淹れるために、急須のお湯を一旦湯呑みに移します。
(直接、お湯の入っている急須にお茶の葉を入れていただいても構いません)
お茶の葉の量は1人2g~3gです。
廻し注ぎをしない場合は茶量をやや多めにすることをおすすめします。
理由は廻し注ぎをしない分、お茶の葉に力が加わらないので浸出する成分が少なくなり風味が薄くなるからです。
今回は1人3g×3人分で9gのお茶を急須に入れます。
ティースプーン山盛り1杯が3gなので3杯急須に入れます。
浸出時間(急須でお茶を置いておく時間)

普通蒸し煎茶の浸出時間は1分程です。
しかし、廻し注ぎをしない場合、1分だとお茶の成分が十分に浸出せずに風味が薄くなりがちです。
廻し注ぎをしない場合は浸出時間を2倍ほどにするのがおすすめです。
今回は通常1分のところを2分にします。
湯呑みのお湯を急須に注ぎます。
茶葉に力を加えないようにゆっくり優しくお湯を注ぐと、より茶葉の味の構造を壊しにくいです。
湯冷まし器へ

2分経ったら、湯冷まし器にお茶を優しく注ぎます。
最後の1滴まで注ぎ切ってください。
注ぎ終わったら急須の背中を叩いて、蓋をずらしてお茶が蒸れるのを防ぎます。
湯冷まし器のお茶を湯呑み3客へ注いで完成です。

2煎目

2煎目は1度湯冷まししたお湯か、ポットの100℃の熱湯を急須に注ぎます。
今回は1度湯冷まししたお湯を使います。
湯冷まし器に、おおよその3人分の湯量(180cc)を注いでください。
湯冷まし器全体が温まったら(湯温90℃)、急須にお湯を優しく注ぎます。
(可能であれば、お茶の葉に直接お湯を当てないように注いでください)
2煎目の浸出時間は、今回は30秒にします。
30秒経ったら、湯冷まし器に1煎目と同様に優しく注いでください。
湯冷まし器のお茶を湯呑み3客に注いで完成です。

まとめ:「緑茶の茶葉」の味の構造と、廻し注ぎのメリット・デメリット
この記事では「緑茶(煎茶)の茶葉」の味の構造から見た、廻し注ぎのメリットやデメリットについて解説しました。
廻し注ぎは茶葉の味の構造を壊してはしまいますが、少ない茶量でコクを出せる等、デメリットよりもメリットの方が優っていると個人的には考えています。
そして、茶葉の味の構造を少し意識してお茶を淹れると、より美味しく普段のお茶を淹れられると思います。
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