緑茶の品種「さやまかおり」のご紹介と、おすすめの淹れ方
更新日:2022.1.15
狭山茶の通販・オンラインショップを営む新井製茶です。
この記事では、緑茶の品種「さやまかおり」の特徴と、おすすめの淹れ方について解説します。
目次
緑茶の品種について
緑茶の品種について説明します。
緑茶の品種は意外に多く、現在100種類以上存在しています。
代表的な品種では「やぶきた」(上図)があります。
あなたもどこかで聞いたことがある品種名ではないでしょうか。
やぶきたは栽培しやすく煎茶としての品質も良いため、全国の栽培面積の7割以上を占めています。
静岡県においては約9割を「やぶきた」が占めています。
1つの品種だけに偏ると困った問題が起こります。
それは茶時期の荒茶工場の処理能力です。
緑茶は摘んだら、できるだけ早く製造しなければなりません。
やぶきたのみの栽培だと、摘採時期が重なり荒茶工場の処理能力を超えてしまいます。
そこで、摘採時期をずらすために「やぶきた」以外の品種の育成が始まりました。
つまり、さまざまな品種は摘採時期をずらし生産性を上げるために導入されました。
そして、この生産性を上げる当初の目的とは別に、副産物として品種茶はそれぞれで様々な個性を持っています。
例えば、花の香りがするもの、桜葉の香りがするもの、ハーブのような香りがするもの、ミルクのような香りがするもの、穀物を連想させる香りを持つもの等があります。
緑茶の品種「さやまかおり」について
この記事でご紹介する「さやまかおり」(上図)は花のような香りがする品種の部類に入ります。
ご紹介する「さやまかおり」は蒸し具合は深蒸しです。
さやまかおりは「やぶきた」よりも2・3日早く摘まれる、やや早生の品種となります。
寒さに強くて収量も多く、栽培もしやすい、とても良い品種です。
さやまかおりは濃厚な渋味が特徴の品種で、中には花を感じさせる香りを持つものもあります。
茶時期に摘み取り作業をしていると、さやまかおりの茶園からはとても良い花の香りが漂います。
名前の通り埼玉県で育成され、主産地は埼玉県と静岡県です。
自然交雑のため、母は「やぶきた」ですが父が不明の品種です。
茶器について
使用する茶器は、250ccの急須・100ccの湯呑み3客・ティースプーンです。
緑茶の品種「さやまかおり」のおすすめの淹れ方
それでは実際に品種「さやまかおり」を淹れていきましょう。
3人分の淹れ方で説明します。
この「さやまかおり」の蒸し具合は深蒸しなので、深蒸し煎茶の淹れ方をします。
美味しくお茶を淹れるポイントのお茶の量・お湯の量・お湯の温度・浸出時間(急須でお茶を置いておく時間)にご注目ください。
お湯の量
まず、湯呑み3客に60ccずつポットの100℃の熱湯を注ぎます。
この湯呑みの場合は8分目が60ccです。
お使いの湯呑みのどの位が60ccか、あらかじめ把握しておくと便利です。
湯温の調整
湯呑み全体が温まったら、急須に湯呑みのお湯を移します。
急須全体が温まると湯温は80℃程です。
煎茶の湯温の適温は70℃~80℃です。
今回は「さやまかおり」の香りを楽しむため、やや高めの80℃で淹れます。
湯温の下げ方は器にお湯を移し、その器全体が温まれば湯温は10℃程下がります。
今回はポットの100℃の熱湯を湯呑みに移して90℃、湯呑みのお湯を急須に移して目標の80℃です。
急須全体が温まったら湯温は80℃程になるので、急須にお茶の葉を入れるために一旦湯呑みに急須のお湯を移します。
お茶の量
お茶の葉の量は1人2g~3gです。
今回は1人2gで淹れます(濃いお茶がお好きな方は3gにしてください)。
ティースプーンすり切り1杯が2gなので、3杯急須に入れます。
浸出時間(急須でお茶を置いておく時間)
今回の「さやまかおり」は深蒸し煎茶なので浸出時間は30秒です。
お湯を注いだら、2煎目のために水位を確認し30秒待ちます。
廻し注ぎ
30秒経ったら、廻し注ぎでお茶の量と濃度が均等になるように湯呑みに注ぎ分けます。
1・2・3と淹れたら3・2・1と戻る注ぎ方です。
最後の1滴まで注ぎ切ってください。
緑茶の品種「さやまかおり」の2煎目の淹れ方
2煎目は1度湯冷まししたお湯か、ポットの熱湯を使います。
今回はさやまかおりの濃厚な渋味を楽しむために、ポットの熱湯を使います。
急須の1煎目の水位までポットの熱湯を注いでください。
2煎目は1煎目でお茶の葉が開いて成分が出やすくなっているので、ポットの熱湯を注いだら、すぐに注ぎ分けます。
1煎目と同様に廻し注ぎで注ぎ分けます。
最後の1滴まで注ぎ切ってください。
まとめ:緑茶の品種「さやまかおり」のご紹介と、おすすめの淹れ方
この記事では、埼玉県の品種茶「さやまかおり」を紹介しました。
さやまかおりの特徴は濃厚な渋味と花のような香りです。
ただし、品種茶の個性を活かす栽培方法・製造方法・仕上げ方法でなければ、品種茶の個性は薄くなったり弱くなったりします。
日本茶は本当に繊細で、造る人・機械の種類・天候等さまざまな要因で風味が変わります。
品種茶の個性を味わいたい場合は品種茶を大切にしている農家さんや品種茶の専門店さんでのご購入をおすすめします。
品種茶に関しては下記でもご紹介しています。ご興味があればぜひご覧ください。
関連記事:お茶の品種「ふくみどり」の特徴と、おすすめの淹れ方
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